『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』感想。素晴らしい才能を持ったアマチュア写真家のドキュメンタリー映画。
作品情報
原題: | Finding Vivian Maier |
監督: | ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル |
脚本: | ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル |
製作: | ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル |
制作総指揮: | ジェフ・ガーリン |
キャスト: | ビビアン・マイヤー、ジョン・マルーフ、ティム・ロス、ジョエル・マイロウィッツ、メアリー・エレン・マーク |
音楽: | J・ラルフ |
上映時間: | 83分 |
ざっくりあらすじ
2007年、シカゴで暮らす青年ジョン・マルーフは、オークションで大量の古い写真のネガを落札した。
それはすでに故人であるヴィヴィアン・マイヤーという女性が撮影した写真だった。
マルーフがその一部をブログで紹介すると世界中から賞賛の声が寄せられた。
そこでマルーフは彼女について調査を始める。彼女はいったい何者なのか。
なぜ15万点以上もの作品を死ぬまで発表しなかったのか?
さまざまな謎の答えを探し求めていくアートドキュメンタリー。
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【感想】写真が本当に素敵です。
実在のアマチュア写真家のドキュメンタリー映画です。
恥ずかしながら、私はこの映画を観るまで彼女のことを知りませんでした。
しかし映画を観て、本当にすごい人だと思いました。
映画ではどのようにして彼女が有名になったのか、彼女はどんな人物だったのか、没後に写真が有名になった彼女の人物像を当時の知人などのインタビューを通して紐解いていきます。
そして彼女の写真と一緒に彼女自身を紹介していく内容です。
まず彼女が有名になる過程に凄いドラマがあります。
150,000枚もの写真をほとんど現像することもなく保管してたヴィヴィアンさん。
それを彼女の死後、偶然オークションでネガを落札したマルーフさんがネットに公開し、素晴らしいと評判になり、写真集や個展が開かれるんです。
凄いドラマですね。
もし、貸倉庫の会社が保管されてたネガをオークションに出さなかったら。
偶然にもマルーフさんが落札しなかったら。
たまたまマルーフさんがネガの写真に興味を持たなかったら。
ヴィヴィアンさんの写真は世に出ることなく、人知れず消滅してたかもしれません。
奇跡的な偶然ですが運命を感じるドラマがあります。
そして何と言っても彼女の写真が素晴らしい。
映画ではインタビューと併せてヴィヴィアンさんの写真が次々と映し出されます。
正直私は写真に詳しいわけでもありませんが、ついつい見入ってしまう写真ばかりです。
字幕を読むより写真を見てしまうほど引き付けられるものばかりでした。
おかげで字幕を読み損ねます。
まだフィルムの時代です。
デジタルカメラで確認しながら何度チャレンジしても素人では同じようには撮れないでしょう。
カメラの勉強をしたのか完全な独学なのかは不明ですが、恐ろしい感性と技術の持ち主だったことは間違いありません。
妬ましいほどの才能の女性だと思います。
ひょっとすれば彼女は写真を公開する気もなく、作品が世に出ることを望んでなかったかもしれません。
それでも、映画終盤の個展に大勢の人が押しかけてるシーンを見ると何故だか泣けてきました。
個人の力で多くの人の心を動かす彼女の力強さに泣けます。
ドキュメンタリーなので物語が面白いという感じではないですが、素晴らしい映画でした。